旅先で旅館等に止まった時、部屋の広縁に籐の椅子が置かれていたのを見たことはありませんか。

籐家具で使われる籐は東南アジアを中心に自生している200種以上ある植物の総称で、木とも竹とも違う「軽くて柔らかいのに強い」と一見すると相反する特徴を持った、家具に最適の素材です。100%天然素材のため、工業化が進んだ現在でも全て手作りで生産されています。

籐家具は素材が強いので余分な補強がなく、軽量のため移動が容易で、程よいしなりはイスの背もたれ等で適度なフィット感を生み出します。また編んだり曲げて作られるため角がなく衝撃吸収性があり安全面でも優れています。そして手入れをすれば何世代にもわたって使える優れた耐久性も持っています。

このような優れた特徴をもつ素材を使った籐家具はイスだけでなく、枕・籠・敷物やテーブル・ソファ・ベッド・ランドリーボックスなど多岐にわたります。籐家具は夏に好まれるイメージがありますが、これは素材のもつ吸湿性と、熱を蓄えずに弾く性質を持つ表面の琺瑯質によるもの。冬でも絨毯などを籐の上に敷くと床下に逃げる熱を止める効果があります。また空気が乾燥すると蓄えた水分を放出するため、実は籐家具は寒い地域でも人気のアイテムなのです。